2026.06.15|物流改善

物流改善を進める上で重要な7つのポイント

「物流」は文字通り「物が流れる」こと。入荷品や出荷品が荷受場に滞留する「物溜」が、さまざまなムダを発生させ、倉庫内での作業効率を大幅に低下させてしまいます。 物流倉庫も、製品や資材をただ溜め置くことだけを考えてはいけません。ムダが少なく、効率のよい物流倉庫を構築するためには、モノの流れを滞らせないことが重要です。 本コラムでは、実際の物流倉庫での改善のポイントを7つご紹介します。

目次

ポイント1.納入の改善

納入の問題点

一般的な物流倉庫での納入は、納入日は指定していても、納入の時間帯まで指定していないことが多く、以下のような問題点が発生することがあります。

納入のピークにあわせたトラック発着場のスペース確保が必要
入庫能力に関係なく荷物が納入されるため、仮置きスペースが必要
仮置場では、後入先出となるケースが多く、朝一番に納入された荷物が当日の最後に入庫されることがある
入荷作業の遅れや進みが判らず、すべての荷物の納入が終わらなければ、作業の応受援体制がとれない
納入のピークにあわせて荷降ろし用の設備が必要

納入の改善点

これらの問題点の解消のため、以下の改善が必要です。

作業量を平準化できるよう、メーカー別もしくは納入便別に時間帯を設定して運営
定期的に納入される便を基準に調整する(一度に全ての便を同時に調整することは、改善に時間もかかり、難しい)
設定した納入時間は「ダイヤ管理板」を設置し、進捗管理を行い、設定した時間を厳守すれば速やかに荷降ろしができるという保証が必要。逆に守らなければ荷降ろしができないという状況をつくる
ただし、道路事情等で納入時間が遅れた場合のためにフリースペースをつくっておき、事前に遅れが分かった便にそのスペースを割り当てすることも必要

その結果、トラック発着スペースと仮置きスペースの削減が見込めます。入庫遅れがなくなり、作業進捗の把握が容易となることで、応受援体制をタイムリーにとることが可能になります。加えて、荷降ろし用設備の大幅削減等の改善も可能となります。

《ポイント》
時間帯を調整し、納入量を平準化することでムダな設備やスペースを削減するとともに、作業人員を最適化できます

ポイント2.入荷作業の改善

入荷作業の問題点

物流現場では前・後工程に起因する問題に対し「これも物流現場の宿命」と考え、日々発生している問題を見過ごして作業しているのが実態です。
例えば、「朝8時から12時までが入荷時間」という場合、当日の入荷計画が把握できず、いつ便が到着するのかが分かりません。その結果、入荷作業を計画的に行えず、手待ちや横持ちのムダが多発し、必然的に多めの人員を配置しがちになります。さらに、入荷が集中する時間帯に対応するため、終日作業者を配置することになりますが、実際には大半の時間が手待ちとなってしまいます。

入荷作業の改善点

これらの問題を解消するため、納入便毎に到着時間を設定し、目で見て管理できるようにすることが重要です。
その結果、入荷作業が計画通りか瞬時に把握できるようになります。計画通り到着しているのに入庫すべき商品が入荷場に滞留した場合は作業者不足であることが分かり、すみやかな増員対応が可能となります。入荷作業が計画通りなのに入庫すべきものがほとんどない場合は、作業者を他の作業へ移すことができます。

《ポイント》
作業を一箇所に集約して「目で見る進度管理」をすることで、適正人員で作業を推進することができます

ポイント3.入庫作業の改善

入庫作業の問題点

一般的な物流倉庫では、メーカー等から納入された製品をそのまま作業台車に載せ替えて保管エリアに入庫することが多いため、入庫の作業動線が長くなり、入庫作業の効率が大幅に低下することになります。

入庫作業の改善点

入庫待ちエリアを「保管エリア(ロケーションよりも大きい単位)」もしくは、「入荷日別」で区画分けして仮置きすることで、入庫時の動線を短縮し、効率的な作業を実現します。

《ポイント》
後工程は「お客様」です。後工程の歩行動線を考慮した運営とすることで、作業効率が向上します

ポイント4.出庫作業の改善

出庫作業の問題点

一般的に、出庫作業は得意先毎の出庫指示書を作業者が自分の担当エリアに持っていき、作業を行います。そのため、出庫するものが多い得意先の作業者は時間が掛かり、少ない得意先の作業者は早く終わってしまいます。

このような出庫作業のやり方では、作業の進度管理はできず、作業が終了する頃に作業の《遅れ》《進み》が分かり、結果、残業や作業者の手待ちが発生します。

出庫作業の改善点

出庫指示書を担当者別の指示書でなく、出庫ラベルにして、1サイクルあたり何枚のラベルを持たせるかを決め、1サイクル出庫するための時間を決めておけば、常時進度管理することが可能になります。

例えば・・・

このように、出庫ラベルをサイクル単位で管理し、残っているラベル数を確認できるようにすることで、作業者を含めて誰もが目で見て分かる管理を実現し、適正人員で作業を推進できるようにしていきます。

しかし、作業量に応じ人員を配置し作業を行っても、出庫量の大小で作業時間に《遅れ》《進み》が生じます。それを常時、計画と実績を管理することにより人員の調整を行います。
前出の例で考えると、本日の作業スピードは6分/サイクルなので、作業開始1時間後には10サイクル終わってなくてはいけません。仮に7サイクルしか終わっていなければ、作業者を増員して計画レベルまで達するようにする必要があります。

《ポイント》
サイクルを定めることにより、適正人員が計画でき、進度管理が可能になります

ポイント5.出庫作業のしくみ改善

出庫作業のしくみの問題点

一般的な物流倉庫では、1日分の作業量(オーダー件数)を朝一番に把握し、作業者に作業指示を行っています。また、作業の進行管理は作業者がオーダーの消化量を見て判断しています。

その結果、作業者も伝票枚数のみの判断で、作業負荷も分らず進度管理は実質できていない状態になり、作業者個々に聞いてまわらないと把握できない(作業者自身も正確に把握できていない)状況になります。以上のことから、作業の進捗にあわせた応受援体制が取りにくく、結果として残業増や納期遅れにつながっています。

入庫作業のしくみの改善

作業の進度管理が誰でも見て管理でき、タイムリーに応受援体制がとれるよう、サイクルタイム管理によるしくみを導入することが重要です。

《ポイント》
進度管理により目で見る管理は、タイムリーに応受援体制がとれます。遅延要因が素早く発見でき、早期対策が可能です

ポイント6.検品・梱包作業のしくみ改善

検品・梱包作業のしくみの問題点

一般的な物流倉庫では、お客様からのオーダーを基に一斉に出庫作業を行った後に、検品及び梱包作業を行っています。また、出庫作業と検品作業以降の工程の担当者を分けて行うことが多いです。そのため、以下のような問題が発生します。

出庫作業と検品工程の間に出庫品が滞留し、ハンドリングの増加や一時置きスペースが必要以上に拡大
検品工程で出庫ミスが発生しても、具体的な再発防止策が図られず、品質に対する意識が高まらない
出庫時の荷姿と梱包荷姿が異なるため、出庫品の入れ替え作業が発生し、作業工数が大幅に増加する

検品・梱包作業のしくみ改善点

こうした問題点の解決には、以下の改善が必要です。

一時置きの基準を明確にし、工程間のモノの滞留が分かるようにする(荷繰り作業を減らし、作業効率を向上させる)
検品工程で判明した出庫ミスは、速やかに出庫作業者へフィードバックし、原因追究と再発防止策を早急に提出させる
PCP出庫方式※を目指し、載せ替えや必要以上の検品作業等のムダな作業を発生させないしくみを構築する
※ピッキング・チェック・パッキングの略で、一人の作業者がピッキングから検品・梱包までを担当するやり方

《ポイント》
後工程である検品、梱包作業も出庫作業の進捗にあわせて流れをつくることが大切です

ポイント7.出荷便の改善

出荷便の問題点

一般的な物流倉庫では、顧客からの出庫情報を前日までに受取り、翌日朝一番から出庫作業を開始することが多く、午前中から午後にかけて倉庫から出庫された製品は、当日夕方になって輸送業者が引取りに来ます。そのため、以下のような問題が日々発生し、物流コストの増の要因となっています。

出荷便の発着スペースが全業者分必要
出荷品の仮置場が一日分の作業量分必要
トラックへの積載用機器が全業者分必要
輸送業者への出荷品の引渡しが遅れ、倉庫担当者の残業が増加
出荷の遅れ進みが誰も分からず、応受援体制がとりにくい

出荷便の改善点

出庫品の滞留や輸送便の集中を招かないよう、時間帯毎に輸送業者を決め、引取りに来てもらうようにします。遠隔地や中継地に運搬する輸送業者は早い時間帯に設定するなど、自社だけでなく輸送業者や取引先と調整の上で決定し、物流倉庫では引取り便のタイミングにあわせて出庫を行います。その結果、以下の改善が期待できます。

トラック発着スペースの削減
出荷品の仮置場スペースの削減
積載用機器の削減
輸送業者への出荷品引渡し時間の短縮
時間毎に出荷の遅れ進みの把握が容易になり、タイムリーな応受援体制の確保が可能

《ポイント》
引取り便の時間を設定し、そのタイミングにあわせて出庫を行うことで、ムダなスペース・作業を削減します

まとめ

このように、各工程の改善により「物溜」をなくし、物流における「細くて速い流れ」をつくり出すことで、生産性の低下や不具合流出のリスク低減に貢献します。

トヨタL&Fでは、現場の状況や運用に合わせた機器の選定からレイアウト設計、導入後のサポートのほか、「物流改善のプロ」による現場診断(無料物流診断)を行っています。工場・倉庫における物流改善をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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