2025.03.24|マテハン

AGV(無人搬送車)とは?知っておきたい基礎知識と活用事例

人手不足が深刻化する中、省人化や生産性向上が求められる物流・製造現場で近年注目されているのが、マテハンのひとつである「無人搬送車(AGV:Automatic Guided Vehicle)」です。 搬送作業の自動化による人手不足の解消や作業者の負担軽減、生産性の向上、ヒューマンエラーの削減など多くのメリットが期待されています。しかし一方で、AGVをどのように導入すればよいのか悩む方も少なくありません。 本記事では、AGVの基本的な仕組みや導入のメリット、導入事例まで幅広く解説します。AGVの導入を検討する際に役立つポイントをまとめましたので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

1.AGVとは?

無人搬送車の基礎知識

AGVとは、「Automatic Guided Vehicle」の略であり、工場や倉庫内の搬送作業を自動化する無人搬送車を指します。床面に設置された磁気テープや二次元コードなどに沿って指定された場所まで荷物を搬送します。

AGV導入が注目される背景

工場や倉庫では、工程間の搬送作業が発生します。しかし、少子高齢化やeコマースの拡大に伴い、物流現場では人手不足が慢性化しています。

そこで注目を集めているのが、無人で自動走行しながら荷物を搬送できるAGVです。作業者が行っていた繰り返しの搬送作業を自動化し、ヒューマンエラーのリスクを抑えつつ省人化や作業の効率化を実現できる点が大きな魅力です。

AGVとAMRの違い

AGVに似たものとして、AMR(Autonomous Mobile Robot)があります。AMRは磁気テープや二次元コードなどのガイドが不要で、周囲の状況に応じて適切なルートを自ら判断して自律的に走行します。

一方、AGVは事前に設定したルートに沿って走行するため、安定した走行が期待できる反面、レイアウト変更に伴う手間やコストが発生する場合があります。AGV・AMRのどちらを選ぶかは現場環境やレイアウト変更の頻度、予算などによって検討しましょう。

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2.AGV導入のメリット

AGVの導入にはさまざまなメリットがあり、現場改善に大きく貢献します。ここでは代表的なメリットを確認していきましょう。

コスト削減・省人化の実現

●  労働力不足の解消と人件費の削減

人手による搬送作業をAGVに置き換えることで、単純な搬送作業から高付加価値な作業へ人員を再配置することが可能となります。その結果、人件費の削減や生産性の向上を実現できる点が大きな魅力といえます。

また、AGVは夜間作業も可能なため、人手による夜間作業の負担やコストを削減しながら、需要に応じた柔軟で効率的な搬送が可能となります。これにより、ムダのない物流と24時間対応の体制を構築でき、企業の競争力向上に大きく貢献します。

作業者の安全性・搬送品質の向上

●  作業者の負荷軽減とヒューマンエラーの低減

重量物の搬送作業は、作業者に大きな身体的負担を強いると同時に、ヒューマンエラーによる事故や荷物の破損リスクが伴います。AGV導入による搬送の自動化は、人手作業による労働災害発生のリスクやミスを大幅に低減します。

●  安全支援機能による衝突・事故リスクの低減

AGVにはセンサーやバンパーなどの安全支援機能が搭載されており、走行中に障害物を検知すると自動的に停止します。人手による搬送作業と比べて人為的なミスが発生しにくく、事故リスク低減に貢献します。

▶関連ページ:トヨタL&FのAGV(無人搬送車)商品一覧はこちら

3.AGVの種類と価格

AGVにはさまざまな種類があり、種類によって価格帯も変わります。ここでは代表的なタイプと誘導方式、価格相場を整理します。

AGVの種類

●  台車型

小型部品からパレットまで、幅広い荷物の搬送に対応可能なフラット形状のタイプです。本体にはコンベヤやリフトアップ機構などの移載装置を搭載することができ、用途に応じた柔軟なカスタマイズが可能です。そのため、生産ラインの工程間搬送における最適な選択となります。

●  けん引型

カゴ台車やパレット台車を連結してけん引し、効率的に搬送するタイプです。大量の荷物を一括で運搬できるのが特長で、特に搬送距離が長い現場で活躍します。

●  潜り込み型

台車やパレット、ラックの下に潜り込み、そのままリフトアップして搬送するタイプや、台車下面にピンを引っかけて搬送するタイプがあります。狭いスペースや制約のある作業環境でも効率的に運用できる点が大きなメリットです。

●  ローリフト型

フォークリフトのように荷物の持ち上げや積み降ろしに対応するリフト機能を搭載したタイプです。床に直置きされたパレットへの荷役作業にも対応可能で、リフトアップの高さを低く抑えた設計により、低い位置での搬送作業を得意とします。

AGVの誘導方式

●  磁気

床面に貼られた磁気テープや地面に埋め込まれた磁気棒を、AGVがセンサーで追従する誘導方式です。レイアウト変更時には、磁気テープや磁気棒の再施工が必要となります。他の誘導方式と比べて導入コストが低く、稼働が比較的安定している点が特長です。ただし、磁気テープが損傷した場合は、貼り替えが必要となるため、適切な管理と保守が求められます。

●  SLAM

AGVがスキャナーやカメラを用いて周辺環境の特徴(壁や柱など)を検出し、その情報をもとに自己位置を推定しながら移動する方式です。レイアウト変更への柔軟性が高い点が特長ですが、環境依存度が高いため、変化の多い環境では再調整が必要になる場合があります。 

●  二次元コード

床に貼られた二次元コードをカメラやセンサーで認識し、その情報をもとに誘導する方式です。設置コストが比較的低い反面、コードの損傷や汚れには注意が必要です。

●  反射板

AGVに搭載されたレーザースキャナーが、周囲に設置したリフレクター(反射板)を認識し、その位置情報をもとに移動する方式です。自らの位置を高精度で特定するため、高精度な運用が求められる現場でも運用可能です。

AGVの導入にかかる費用

AGV導入には、大きく分けて以下の費用が発生します。

●  AGV本体費用

AGV本体の価格は、機能や仕様に応じて大きく異なります。小型でシンプルなタイプなら数百万円程度から、大型タイプや特殊な移載機能を持つタイプでは数千万円に達する場合もあります。高精度なセンサーやAI技術を搭載したモデルは価格が高くなる傾向にあります。

●  構築費用

AGVを導入するだけでは効果を最大化できません。施設内のレイアウト設計や物流フローの見直しといった導入環境の整備にも費用がかかります。また、AGVの動作に必要となる磁気テープやQRコード、リフレクター(反射板)などの設置に伴う費用も発生します。

●  システム費用

AGVを効果的に管理するために、専用の管理システムが必要です。多くの場合、集中管理システムを用いることで複数台のAGVを統括し、効率的な運用が可能になります。このシステム開発費も全体的なコストに含まれます。

●  運用・保守費用

AGV導入後は、定期的なメンテナンス費用や消耗品の交換費用が発生します。また、トラブル対応のためのサポートサービスにかかる費用も考慮する必要があります。これらの費用は、年間で数十万円から、場合によっては数百万円に上ることがあります。

AGV導入にかかる費用は、単なる購入費用だけでなく、システムの構築費用や長期的な維持管理費用も含めて総合的に検討する必要があります。導入コストに目を向けるだけでなく、得られる効率化やコスト削減効果をあわせて評価し、長期的な視点で計画を立てることが成功の鍵となります。

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4.AGV導入の進め方

AGV(無人搬送車)の導入を成功させるためには、事前準備をしっかりと行い、初期検討から本格稼働までのプロセスを計画的に進めることが重要です。以下では、導入の進め方を解説します。

Step1:要件定義
Step2:シミュレーション・レイアウト設計
Step3:本稼働・フィードバック

Step1:要件定義

AGV導入の最初のステップは要件定義です。以下の観点を整理する必要があります。

 搬送量や稼働時間:1日あたりの搬送量、搬送距離、頻度を確認します
 荷物の形状・重量:搬送対象物のサイズや重量を考慮して、対応可能なAGVを選定します
 将来的な搬送物やレイアウト変更の可能性:設備や搬送物が将来的に変更される可能性を見込み、柔軟性を持たせた計画を策定します

これらを明確に整理することで、必要なAGVの種類や台数、走行ルートを効率的に検討する基盤が整います。この段階での精度が、後工程のスムーズさを左右する重要なポイントです。

Step2:シミュレーション・レイアウト設計

次に、AGVの稼働を想定したシミュレーションを行い、施設内の環境に合わせた詳細なレイアウト設計を進めます。この段階では、以下のポイントを検証します。

 AGVの動作:倉庫や工場内の走行ルートを試算し、効率的な搬送ルートを設定します
 施設環境との調整:作業者の動線、他設備との干渉を最小限にするため、レイアウト調整を実施します
 システム連携:運行管理システムとの通信、他設備や建屋シャッターなどとの連携が正しく機能するよう確認します

これらの検証を行うことで、AGVが安定して稼働できる運用環境を整えることが可能です。また、この段階で安全に関わる仕様やリフレクター(反射板)の配置なども検証します。

Step3:本稼働・フィードバック

本稼働では、AGVが計画通りのルートで安定運行するかを確認するとともに、導入後はデータ分析を行い、運用効率のさらなる向上を目指します。以下のアクションを定期的に実施すると良いでしょう。

 ルートや台数の調整:搬送量の増減や施設の変更に応じて柔軟に対応します
 運用データの振り返り:日々の稼働状況を記録し、改善すべき点を継続的に洗い出します
 トラブル防止メンテナンス:センサーやバッテリーの点検を行い、安定した運用を保つよう努めます

導入後もPDCAサイクルを回し続けることで、AGVのパフォーマンスを最大化し、効率化の恩恵を最大限受けることができます。

トヨタL&Fでは、豊富な経験と専門知識を活かし、要件定義から本稼働後の運用管理まで、一貫したAGVソリューションを提供しています。導入後も定期メンテナンスと運用サポートで、安定稼働と効率化をサポートします。AGV導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。

5.導入事例で見るAGVの効果

具体的な導入事例を通じて、AGVがどのように課題を解決し、成果をもたらしたのかを見てみましょう。これから紹介するのはトヨタL&FのAGV導入事例です。

株式会社ZOZO様(業種:アパレル/卸売・小売)

ハンドパレット搬送の自動化で、作業の属人化を解消し、次工程への最適な供給体制を確立。重量物搬送による作業者の身体的負担も軽減。

日本最大級のファッションEC「ZOZOTOWN」を運営するZOZO様は、物流拠点「ZOZOBASEつくば3」にQRグリッド式AGVを導入。
従来のハンドパレット搬送を自動化することで、作業の属人化を解消し、次工程への最適な供給体制を確立しました。
また、重量物の搬送作業を自動化することで、作業者の身体的負担を軽減し、操作ミスによる衝突や事故リスクを低減しました。

▶関連ページ:株式会社ZOZO様導入事例はこちら

日本ロジテム株式会社様(業種:運輸:倉庫)

冷蔵庫内の重量物搬送を自動化し、作業者の負担を軽減。残業時間の削減と2名の省人化を実現。

総合物流企業として事業を展開する日本ロジテム様は、横浜営業所に1,000kg級のシンプルAGV「キーカート」を導入。冷蔵庫内の重量物搬送を自動化し、作業者負担を軽減。残業時間の削減と2名の省人化を実現し、作業の標準化にも貢献しました。

▶関連ページ:日本ロジテム株式会社様導入事例はこちら

シモハナ物流株式会社様(業種:運輸・倉庫)

約150mの長距離搬送を自動化し、省人化と作業効率向上を実現。フォークリフトの導入台数を5台から2台に削減。

全国55拠点で食品物流を展開するシモハナ物流様は、岩槻第一センターにシンプルAGV「キーカート」を10台導入。約150mの長距離搬送を自動化し、省人化と作業効率向上を実現しました。また、フォークリフトの導入台数を5台から2台に削減し、ランニングコストの低減とフォークリフトオペレーターの省人化に貢献しました。

▶関連ページ:シモハナ物流株式会社様導入事例はこちら

菅公学生服株式会社様(業種:アパレル/卸売・小売)

製品や原材料の搬送を自動化し、作業者の身体的負担を軽減。付加価値の高い作業への人員配置が可能となり、生産性向上と年間約160万円のコスト削減を実現。

スクールウェア・スポーツウェアの製造・販売を行う菅公学生服様は、南九州カッティングセンターにシンプルAGV「キーカート」を導入し、製品と原材料の搬送を自動化。作業者負担が軽減され、付加価値の高い作業への人員配置が可能となり、生産性向上と年間約160万円のコスト削減を実現しました。成功事例をもとに、他拠点への展開も進めています。

▶関連ページ:菅公学生服株式会社様導入事例はこちら

株式会社トーカン様(業種:食品・飲料)

低温環境下の重量物搬送を自動化し、作業者の負担を軽減。搬送工数を67%削減し、2名体制から1名への省人化を実現。

食品卸・製造を手がけるトーカン様は、瀬戸低温流通センターにシンプルAGV「キーカート」を導入。低温環境下の重量物搬送を自動化し、作業者の負担を軽減。搬送工数を67%削減し、2名体制だった作業を1名に省人化。安全性向上と作業効率改善を実現しました。

▶関連ページ:株式会社トーカン様導入事例はこちら

三菱ふそうトラック・バス株式会社様(業種:自動車・輸送機器)

AGV+カラクリで搬送作業の自動化を実現。生産性の向上と工場全体の効率化に貢献。

トラックやバス、産業エンジンまで幅広く生産している三菱ふそうトラック・バス様は、川崎工場にシンプルAGV「キーカート」を導入し、カラクリとの組み合わせで重量物搬送の自動化を実現。次工程との連携をスムーズにし、作業者負担を軽減するとともに、生産性向上と工場全体の効率化に貢献しています。

▶関連ページ:三菱ふそうトラック・バス株式会社様事例はこちら

ダイキン工業株式会社様(業種:電気・機械)

1日平均100回最大32kgの部品搬送を自動化し、作業者の身体的負担を軽減。

世界で唯一空調機と冷媒の両方を手がけるダイキン工業様は、堺製作所金岡工場にシンプルAGV「キーカート」を導入し、1日平均100回最大32kgの部品搬送を自動化しました。重量物搬送作業を自動化することで、作業者の負担の軽減を実現しました。

▶関連ページ:ダイキン工業株式会社様の導入事例はこちら

株式会社ネストロジスティクス様(業種:運輸・倉庫)

搬送作業を自動化し、搬送効率が約2倍に向上。バッテリー稼働のAGVで停電時でも作業継続が可能に。

総合物流事業を全国展開するネストロジスティクス様は、川崎営業所にシンプルAGV「キーカートショートタイプ」10台を導入し、フォークリフトで行っていた搬送作業を自動化。AGVで搬送、フォークリフトで荷降ろしをする運用で、搬送効率が約2倍に向上しました。また、キーカートはバッテリー稼働のため、停電時でも作業継続が可能となりました。

▶関連ページ:株式会社ネストロジスティクス様導入事例はこちら

株式会社共同物流サービス様(業種:運輸・倉庫)

搬送作業の自動化により、作業者の負担を大幅に軽減。本来の仕分作業に集中できる体制を整備し、業務効率を向上。

共同保管・共同配送事業を展開する共同物流サービス様は、搬送作業を自動化することで、作業者の負担を大幅に軽減。本来の仕分作業に集中できる環境を整備し、業務効率の向上を実現しました。

▶関連ページ:株式会社共同物流サービス様導入事例はこちら

6.まとめ

人手不足対策や生産性向上のためのや自動化ニーズが高まる中、AGVは工場・倉庫内の工程間搬送において大きな効果を発揮します。

本記事では、AGVの基本的な仕組みや導入メリット、具体的な導入事例を幅広くご紹介しました。

AGV導入には初期投資が必要ですが、省人化による人件費削減や夜間稼働による生産性向上など、中長期的なコストメリットを得られるのが魅力です。さらに、作業者の安全性向上やヒューマンエラー削減といった効果も期待できます。

AGVに興味をお持ちの方は、ぜひトヨタL&Fにご相談ください。

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