2025.01.24|マテハン
マテハンとは?65年の実績を持つプロが解説する意味・種類・効果
物流現場での作業効率化や自動化に欠かせないマテハン。トヨタL&Fは、1956年からフォークリフト、1986年から物流システムの製造・販売を開始し、これまでにフォークリフト国内累計159万台、物流システム累計1万5,000システム以上をお客様の現場に納入してきました。本記事では、マテハン販売65年以上の実績を持つ物流のプロフェッショナルとして、マテハンの基礎から活用方法まで、実例を交えて詳しく解説します。
目次
1.マテハンとは
マテハン(マテリアルハンドリング)の意味
「マテハン」とは「マテリアルハンドリング(Material Handling)」の略称で、モノ(資材・製品)の移動・保管・仕分け・管理など、物流プロセス全般に関わる一連の作業を支える機器・システムを指します。
物流におけるマテハンの役割と重要性
物流は「必要なモノを、必要な場所へ、必要なタイミングで届ける」ことが求められ、マテハンの導入により作業時間の短縮・ミスの削減・在庫の最適化・作業者の負担軽減・省人化など、多方面での効果が期待できます。
また、マテハンは企業が競合他社との差別化を図る上でも重要な要素です。
マテハンを導入することで、より柔軟な出荷体制やリアルタイムでの在庫把握・ロット管理など、多様化・高度化する顧客ニーズに対応することが可能です。
マテハンの活用が求められる背景
現代の物流環境はEC市場の拡大・多品種少量出荷の増加・人手不足・人件費の上昇・サプライチェーンの複雑化など、多くの課題に直面しています。
これらの変化に対応するためには、従来の手作業中心のオペレーションだけでは限界があり、自動化・省人化・効率化を進めるためのテクノロジーや設備・機器への需要が高まっています。
さらに、近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の普及やAI、ロボティクスなど新たなテクノロジーの発展がマテハン領域にもおよんでいます。
これらの技術が融合することで、リアルタイムでの在庫可視化や、需要予測に基づいた自動オペレーション、ロボットによる高度な作業自動化など、より高度な運用が可能になりつつあります。
このような背景の中、マテハンは今後ますます重要性を増す存在として、あらゆる産業・業種の現場を支え続けるでしょう。
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2.マテハン機器の種類と特徴
保管
物流現場における保管機器は、限られたスペースを最大限に活用しながら、効率的な入出庫を実現する重要な役割を担います。
● 固定ラック
最も基本的な保管設備である固定ラックは、高い汎用性と導入のしやすさが特徴です。
パレット単位での保管に適した重量ラックや、バケットや小物の保管に適した中軽量ラック、ラックの中にフォークリフトが入れるドライブインラックなど、保管する商品の特性や現場のオペレーションに応じて様々なタイプが用意されています。
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● 移動ラック
移動ラックは、レール上を移動する複数のラックを組み合わせることで、保管効率を高めたシステムです。
必要なときにラックを開閉して入出庫作業用の通路を確保するため、通路スペースを最小限に抑えることができ、固定ラックと同じ保管量を約1/2のスペースで保管可能です。
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● 自動倉庫
自動倉庫は、ラックへの入出庫を自動で行うシステムです。
商品の特性や保管形態に応じて、パレット用やバケット用など、様々なタイプの自動倉庫が選択可能です。
スタッカークレーンが棚間を移動して商品を入出庫・保管するスタッカークレーン式の自動倉庫や、小型台車が走行してバケットや箱を迅速に搬送・保管するシャトル式の自動倉庫があります。
自動倉庫は、上部空間を有効活用できるため効率的な保管が可能な上、入出庫作業を自動化できるため、さまざまな業種や現場で採用されています。
WMS(倉庫管理システム)と連携することで、在庫管理の精度向上や作業効率の改善・省人化にも貢献します。
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搬送・荷役
物流現場で商品の移動に使用される搬送・荷役機器は、作業の効率化や省人化において重要な役割を果たします。
● コンベヤ
コンベヤは、ベルトやローラーを用いて荷物を自動搬送するシステムです。
搬送能力が高く、決められた経路で大量の荷物を安定して搬送することができるため、物流センターの基幹設備として広く活用されています。
ベルトコンベヤ・ローラーコンベヤ・チェーンコンベヤなど多様な種類があり、搬送物の形状や用途に応じて最適な機器を選定できます。
● AGV(Automated Guided Vehicle):無人搬送車
AGV(Automated Guided Vehicle)は、床面に設置された磁気テープや二次元コードなどに沿って走行する無人搬送車です。
事前に設定されたルートを正確に走行することが可能で、工場や物流センターでの部品・製品の工程間搬送に適しています。
また、センサーによる障害物検知機能を備え、安全性と作業効率の向上に貢献します。
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● AMR(Autonomous Mobile Robot):自律搬送走行ロボット
AMR(Autonomous Mobile Robot)は、センサーやカメラを使用して周囲の環境を認識し、最適な経路を自律的に選択して走行するロボットです。
AGVと異なり、固定された走行ルートを必要とせず、地図データを基に自己位置を把握・推定し、障害物を検知しながら迂回することが可能です。
人との協働が可能なため、工程間搬送に加え、ECセンターのピッキング工程等でも活用が進んでいます。
● 垂直搬送機
垂直搬送機は、異なる階層間での荷物の搬送を行うシステムです。
垂直搬送機にはエレベーター式やエスカレーター式など、荷物の特性や搬送能力に応じて様々なタイプがあり、マルチフロア型の物流施設においてフロア間の効率的な荷物移動を実現します。
一般のエレベーターで必要な建築確認申請、法定定期点検義務がなく、ローコストでの導入が可能です。
● ハンドパレット・ローリフト
ハンドパレット・ローリフトは、パレットにフォークを差し込んで持ち上げ、人手で操作する荷役機器です。
導入コストが低く、メンテナンスも容易なため、規模を問わず様々な現場で広く使用されています。バッテリー駆動のローリフトもあり、より軽い力での作業が可能です。
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● フォークリフト
フォークリフトは、パレットなどの荷物を持ち上げて運搬する代表的な荷役機器です。
フォークを上下させることで、荷物の積み降ろし、高所への荷役作業が可能です。
大きく電動式とエンジン式の2種類があり、さらに用途に応じて最適なモデルを選択できます。
最大積載量も機種によって幅広く、作業現場のニーズに対応します。
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● AGF(Automated Guided Forklift):無人フォークリフト
AGF(Automated Guided Forklift)は、AGVの技術を応用した無人フォークリフトです。
自動充電機能を搭載したモデルでは、一時待機場などで充電を行えるため24時間稼働への対応が可能で、夜間にフォークリフト作業をしている現場や、フォークリフトオペレーターの確保が難しい現場に最適です。
設定されたルートを自動で走行し、荷物の積み降ろしを自動で行うことができ、位置決め機能により高精度な荷役作業を実現します。
AGFの誘導方式には磁気誘導方式・レーザーSLAM方式・レーザーリフレクタ方式などがあり、現場環境や運用要件に応じて最適な誘導方式を選択可能です。
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仕分け
物流現場での商品の仕分け工程は、出荷の精度と作業効率に直結する重要な役割を担います。
● コンベヤ式ソーター
コンベヤ上を流れる商品を連続的に仕分けるシステムです。
スライドシュー式・ポップアップ式・クロスベルト式・チルトトレー式などがあります。
高速で大量の商品を仕分けられるため、特にECセンターや通販物流などの大規模物流施設で活用されています。
● ロボット式ソーター
搬送ロボットが商品を運搬し、仕分けを行うシステムです。
拡張性に優れており、物量の増加や季節変動に合わせてレイアウトや処理能力、仕分け先数などを柔軟に変更可能です。
コンベヤ式ソーターと比較し、小規模の倉庫でも活用されています。
● ハンガー式ソーター
ハンガータイプのポケットに商品を入れて、搬送・仕分けを行うシステムです。
倉庫の上部空間を有効活用することができるほか、小物から衣類までさまざまな荷姿に対応可能で、主にアパレルECセンターなどで活用されています。
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情報
物流現場の効率化において、物の流れを管理・制御する情報システムが必要不可欠です。
● WMS(Warehouse Management System): 倉庫管理システム
倉庫管理システム WMS(Warehouse Management System)は、物流センター全体の在庫や作業を一元管理するシステムです。
入出庫管理・在庫管理・作業指示・実績管理など、物流業務の基幹となる機能を担い、上位システム(ERPなど)との連携で、物流センター全体の最適化を実現します。
● WES(Warehouse Execution System): 倉庫運用管理システム
倉庫運用管理システム WES(Warehouse Execution System)は、WMSからの作業指示を受け、現場の各設備やシステムを統合的に制御するシステムです。
作業の優先順位付けや、設備の稼働状況に応じた作業の振り分けなど、現場のリアルタイムな状況に応じた柔軟な運用を可能にします。
● WCS(Warehouse Control System): 倉庫制御システム
倉庫制御システム WCS(Warehouse Control System)は、自動倉庫やコンベヤなど、各種マテハン機器を直接制御するシステムです。
WESからの指示を受け、各設備の動作制御やステータス管理を行い、安定した自動化運用を実現します。
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パレタイズ・デパレタイズ
パレタイズ・デパレタイズは物流現場でのパレットの積み付け・積み降ろし作業を指します。
● パレタイズ・デパレタイズロボット
パレタイズロボットは、段ボール・オリコン・コンテナ等を自動でパレットに積み付けるロボットです。
商品の形状や姿勢を認識し、効率的な積み付けパターンで作業を行います。多関節ロボットアームの採用により、様々な商品形状や積み付けパターンに対応可能です。
デパレタイズロボットは、パレットから自動で段ボール・オリコン・コンテナ等を積み降ろすロボットです。
省力化や作業時間の短縮が実現し、作業員の負担が軽減されます。
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3.マテハン導入のメリット
保管効率の向上
マテハンを導入することで、限られたスペースを最大限に活用し、保管効率を高めることが可能です。
例えば、自動倉庫や移動ラックを用いれば、スペースを最小限に抑えながら高さを活かした高密度な収納が実現できます。
従来よりも多くの商品や原材料を同一面積内に保管できるため、追加の倉庫拡張や外部倉庫への依頼といった大規模投資の回避につながります。
また、自動倉庫とWMSを連携させることで、在庫の入出庫をリアルタイムに管理し、先入先出やロット管理を徹底できます。
このように、マテハンの導入による保管効率の向上で、より戦略的な保管計画を支援し、物流全体のコスト削減と供給安定化をサポートします。
▶参考事例
【DMG森精機様】4種類の自動倉庫とトヨタWMSの導入で、12万品目の効率的な保管・入出庫を実現
- 4種類の自動倉庫で、サイズに応じた最適な保管・入出庫を実現
- 荷姿別保管と立体保管の採用により、容積率が約1.5倍に向上
- トヨタWMSの導入により、出荷リードタイムの短縮を実現
作業効率の向上
従来の人手作業からマテハンによる自動化へ移行することで、物流現場の作業効率を大幅に向上することができます。
例えば、ソーターによる仕分け作業の自動化は、誤出荷率の低下につながるだけでなく、大量の商品を正確・迅速に仕分けられるため、リードタイム短縮による顧客満足度向上につながります。
さらに、WMSや在庫管理システムとの連携により、在庫状況や出荷オーダーをリアルタイムで確認でき、計画的かつ効率的な作業リソースの配分が可能になります。
こうした総合的な最適化により、現場は付加価値の高い業務にリソースを集中でき、経営的な観点からも生産性の向上が期待できます。
▶参考事例
【髙儀様】仕分け作業の効率化で、処理数の倍増と約30%の工数削減を実現
- 拡張性が高く、物量によってロボット・仕分け先・面積の増減が容易
- 仕分け作業の効率化により、20~30%の工数削減を実現
- 仕分け処理能力が約2~2.5倍となり、出荷量が多い日でも前日作業が不要に
人手不足対策
深刻化する労働力不足は、物流業界全体が直面する大きな課題です。マテハンは、この課題に対する有効な打開策となります。
例えば、AGVやAMRによる自動搬送、自動倉庫による入出庫の無人化・省人化など、これまで人手に頼っていた作業を自動化することで、人員確保が難しい時期でも安定した稼働が可能になります。
特に24時間稼働が可能な自動設備の活用は、シフト調整の負担軽減や、繁忙期・閑散期の波をスムーズに乗り越える柔軟なオペレーションを構築します。
このような自動化戦略により、熟練作業者を高度な改善提案といった付加価値の高い業務へ振り向けることができるほか、オペレーションがシンプルになることで新人スタッフでも早期に戦力化しやすくなります。
結果として、労働市場の変動に左右されにくい、安定的で生産性の高い組織づくりが可能となります。
▶参考事例
- 入出庫作業の自動化で3名の省人化を実現
- 在庫管理が容易になり、探す手間とたな卸工数を削減
- 有効スペースをフル活用し、対平置き比率360%の保管効率を実現
品質・安全性の向上
人の手作業は時として思わぬミスや危険を引き起こします。マテハンの導入により、安定した作業品質の維持・安全性の向上につながります。
例えば、AGFを導入すれば、フォークリフトの操作ミスによる資材破損や衝突事故のリスクを大幅に低減できます。また、事前に決められた作業を決められた通りに行うため、作業品質を一定に保つことが可能です。
▶参考事例
【ゴールドパック様】自動運転フォークリフトにより、4mの荷取り作業で高い安全性を確保
- 資材の運搬作業とパレットの回収作業を完全自動化、1名の省人化を実現
- 自動運転フォークリフトにより、4mの荷取り作業で高い安全性を確保
- バーコードリーダーを活用し、使用した資材のトレーサビリティを確保
コスト削減
マテハン導入によるコスト削減効果は、省人化や作業効率の向上による人件費の削減、人為ミスの削減や在庫の適正化による商品廃棄の防止など多岐にわたります。
例えば、フォークリフトで横持ち搬送を行っている現場にAGVを導入することで、搬送作業を自動化することができ、人件費の削減が可能です。
▶参考事例
【シモハナ物流様】AGVの導入でフォークリフト台数削減し、省人化を実現
- フォークリフト台数削減による省人化を実現
- フォークリフトオペレーターを他の作業に充てられるようになり、作業効率が向上
- フォークリフトでの横持ち搬送作業をなくしたことで、事故発生リスクを低減
- 低温環境作業の自動化により、作業者の負担を軽減
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4.マテハン導入のデメリット
導入コスト
マテハン機器を導入する際には、初期投資として相応のコストが発生します。
自動倉庫・AGV・AMR・ソーター・WMSなど、あらゆる設備をまとめて導入しようとすると、費用が高額になることもあります。
また、導入後も、保守点検・消耗部品の交換・ソフトウェアのアップデート・オペレーターの教育や研修など、継続的なランニングコストが発生するため、導入前に投資回収期間を算出し、総コストが事業計画と合致するか十分に検討することが重要です。
トヨタL&Fでは事業拡大に合わせた段階的な導入や最適な機器選定によって、コスト負担を抑えつつ確実な効果を目指してご提案いたします。
故障時の業務停止リスク
マテハンの導入は作業効率化・省人化など利点が大きい反面、万が一トラブルが発生すれば業務が停滞する懸念があります。
特に、自動化比率が高い現場ほど、1つの機器トラブルが工程全体に影響をおよぼす可能性があります。
こうしたリスクを軽減するには、導入後のサポートが必要不可欠です。
トヨタL&Fは、全国40社・282拠点の販売店グループによる地域密着型の支援を強化しています。
万一の故障時には、近隣拠点から専門スタッフが迅速に駆けつけ、必要な修理・交換を速やかに実施します。
また、定期点検や予防保全に関するアドバイスを通じて、システム停止時間を最小限に抑え、安定稼働を長期的にサポートします。
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レイアウト変更の難しさ
マテハンは、現場環境やオペレーションに合わせて最適化された設計・導入が行われます。
そのため、後から大幅なレイアウト変更やフロー転換を行う際には、新たな投資や工期が必要になる場合が多くあります。
この点を踏まえ、トヨタL&Fでは「人と機械の調和」を重視しています。
将来の事業拡大や業務変更を視野に入れ、段階的な増設に適した拡張性の高い機器や、柔軟なシステム構築を提案します。
これにより、長期的な視点で環境の変化に対応しやすくなり、初期導入時の設計が将来的な課題解決にも活きる形で、マテハンを有効活用することができます。
5.マテハン導入の進め方・ポイント
導入までの流れ
マテハン導入を成功させるためには、課題の洗い出しから設計、導入、アフターサポート、運用改善までの一連のプロセスをしっかりと踏むことが大切です。以下はトヨタL&Fにおける、マテハン導入までの一般的な流れです。
● Step 01:ヒアリング・現場調査
まずは、お客様のニーズを丁寧にヒアリングし、現地調査を通じて課題を明確化します。後の設計に活かします。
● Step 02:コンサルティング(工場・倉庫新設の場合)
調査結果を分析し、全体のコンセプトや目標値を設定します。これを踏まえて基本計画を立案し、将来を見据えた長期的なロードマップを検討します。
● Step 03:機器選定・レイアウト検討
物流現場の条件やお客様の要望に合わせて、有人作業も含めた最適なマテハンを選定します。ソフト(WMSなど)とハード(自動倉庫・AGV・AMR・AGFなど)の両面から、効率的かつ柔軟性のあるプランを検討します。
● Step 04:施工・調整
決定したレイアウトプランに基づき、実際の現場で機器の設置工事・調整を行います。現場の状況に応じて微調整を加えながら、計画通りの稼働環境を整えます。
● Step 05:操作教育・稼働立会
お客様自身で運用できるよう、導入機器の操作教育や稼働立会を実施し、スムーズな稼働立ち上げをサポートします。
● Step 06:アフターサービス
導入後も、トヨタL&Fの全国販売店グループによる地域密着型サポートを行います。定期点検やトラブル発生時の迅速な対応など、稼働率を維持するためのアフターサービスが受けられます。
● Step 07:運用改善
運用開始後も現場状況や稼働実績を振り返り、持続的な改善提案を行い、長期的な効率向上とコスト削減を図ります。
最適なシステム選定のポイント
マテハンは現場の環境・製品の特性・入出荷のボリューム・将来の拡張性など、多面的な条件を考慮して選定します。
最適な組み合わせを見つけるためには、「導入目的」と「優先事項」を明確にすることが重要です。例えば、「省人化を重視するのか、スペース効率化を重視するのか」「将来的な業務拡大に備えて拡張性を確保するべきか」など、社内関係者と共有・検討します。
さらに、複数のマテハンを比較検討することで、コストや機能面での最適解を導きやすくなります。
導入後のサポート・メンテナンスの必要性
マテハンは導入後のメンテナンスが必要不可欠です。
定期点検による機器トラブルの予防・消耗品の交換・ソフトウェアのアップデート・操作担当者への再教育など、長期的な稼働率維持と改善が重要なカギとなります。
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補助金の活用
マテハン導入は国や自治体が提供する補助金・助成金の対象となる場合があります。
こうした制度を活用すれば、初期投資の負担を軽減しながらマテハンを導入できます。
実施時期や内容が毎年変動するため、最新の制度や要件を確認したうえで、有効に活用するとよいでしょう。
6.業種別のマテハン活用事例
製造業での活用例
製造業では、製品・部品の工程間搬送や一時保管などにマテハンが活用されています。
ダイキン工業株式会社様では、ビル用マルチ熱交換器の部品搬送作業を自動化するため、トヨタL&FのシンプルAGV「キーカート」を導入しました。
1日平均100回行っていた最大32kgの部品搬送を自動化したことで、従業員の負担軽減と生産効率向上を同時に実現しました。
マテハンの活用は製造現場の効率化や省人化を進めるだけでなく、現場の改善スキル向上にもつながり、持続的な改善を支える強力な基盤として、製造業のさまざまな課題解決に貢献しています。
▶参考事例
【ダイキン工業様】シンプルAGVキーカートによる、部品搬送の自動化で、生産効率の向上と作業負担の軽減を実現
- 1日3.5時間の搬送作業を自動化し、生産性を大幅に向上
- 最大32kgの重量物搬送作業から解放され、作業者の身体的負担を軽減
- Excel®による簡単なルート設定で、スムーズな稼働開始を実現
運輸・倉庫業での活用例
運輸・倉庫業では、多様な商品の保管・出荷に加え、大量の荷物を安定的かつ迅速に取り扱う必要があります。
マテハンを導入することで、保管効率や作業効率の向上、省人化を同時に実現でき、倉庫オペレーション全体の効率化が進みます。
例えば、日本梱包運輸倉庫株式会社様では、平置き・段積みによる保管効率の低下や作業者への負担を解決すべく、移動ラックを導入しました。
移動ラック+ハイピックリフトで倉庫の上部空間を活用することにより、保管効率は175%増を実現し、3名の省人化を同時に実現しています。
また、レールレス式の移動ラックを採用したことで、将来的なレイアウト変更や移設にも柔軟に対応できるようになりました。
このように、運輸・倉庫業でもマテハンは活用されており、限られたスペースを最大限に活用すると同時に、作業負荷の削減やリスク管理の向上に大きく貢献します。
▶参考事例
【日本梱包運輸倉庫様】移動ラックを導入し、保管効率と作業効率の向上、省人化を実現
- 平置きから上部空間も活用できるラック保管に変更し、保管効率175%増を実現
- 作業効率の向上で、残業時間の削減と3名の省人化を実現
- レールレス式の移動ラックのため、レイアウト変更時の移設が可能に
通販・卸売・小売業での活用例
小売業界では、多様な商品を適正な数量・タイミングで店舗へ供給することが求められます。
「ダイソー」チェーンの国内外展開などを行う株式会社大創産業様は、近年の新規店舗数増加に伴う出荷量の増大を見越し、大創産業神奈川RDC(Regional Distribution Center)を立ち上げました。
神奈川RDCでは、①出荷能力の柔軟な拡張対応、②店舗デパ別梱包※、➂ 店舗業務の負荷軽減等をコンセプトに掲げ、最新のマテハン機器を組み合わせて導入することで、高効率なオペレーションと省人化を実現。さらに、RDCでのデパ別梱包を実施し、店舗での荷受け・検品・陳列作業の負荷軽減を図りました。 ※店舗の陳列レイアウトに合わせた梱包
このように、マテハンの活用により、倉庫での作業効率向上、および店舗作業負担の軽減を同時に実現できます。
▶参考事例
【大創産業様】最新マテハン機器を組み合わせ、高効率なオペレーションと省人化、店舗負担軽減を実現
- 最新のマテハン機器を組み合わせて導入することで、高効率なオペレーションと省人化を実現
- 店舗での荷受け・検品・陳列作業の負荷軽減のために、出荷段階でのデパ別梱包を実施
- 災害時における万全なBCP対策と地震・火災対策を実施し、稼働を止めない安定的なRDCを実現
食品業での活用例
食品業界では温度管理により新鮮・安全な商品を供給することが重要です。
冷凍庫内で自動倉庫を活用することで定温管理を行い、品質保持と作業効率の向上を同時に実現できます。
日幸産業運輸株式会社様では、従来、-25℃の冷凍倉庫内ではフォークリフトによる入出庫作業が行われていましたが、厳しい環境下でのオペレーター負担や作業の属人化が課題でした。
「第2物流センターWEST」稼働開始時に、これらの課題解決に向けて、トヨタL&Fのパレット用自動倉庫「ラックソーターP」を導入。冷凍倉庫内でのフォークリフト作業が削減され、作業者の身体的負担を大幅に軽減しました。
また、ベテラン作業者に依存せず、誰でも標準化された手順で入出庫を行えるようになり、作業の属人化を解消しています。
このように、マテハンを活用し作業の効率化や省人化を進めることで、冷凍冷蔵環境における作業者の負担軽減を実現することができます。さらに、品質・衛生面の確保とロット管理を同時に実現することで、消費者に対して信頼性の高い食品供給体制を継続的に築くことができます。
▶参考事例
【日幸産業運輸様】冷凍倉庫にパレット用自動倉庫ラックソーターPを導入し、入出庫作業を自動化
- 冷凍倉庫内でのフォークリフト作業が削減され、作業者負担が大幅に軽減
- 1つのバッチの実行で複数パレットの自動出庫が可能となり作業効率が向上
- ベテラン作業者以外でも入出庫が行える作業の標準化を実現
医薬品業での活用例
温度管理や衛生管理が特に重要となる医薬品業でもマテハンの導入が効果的です。
株式会社アステム様は、九州各県に56ヶ所ある分散拠点での過剰在庫や、拠点間在庫の横持ち搬送、保管スペース不足といった課題を解決するため、メディカル物流センター「OWLセンター」を開設しました。
トヨタL&Fは、医療品物流特有の管理要件を考慮したソリューションを提案し、マテハン機器と人手作業を最適に組み合わせた半自動システムを構築。その結果、将来の物流変化に柔軟に対応できるモジュール型設備や、オーダー特性に合わせたピッキング方法の選択による作業効率アップなどを実現しました。
さらに、OWLセンターが効率的に機能することで、他の55拠点での作業負荷軽減や在庫圧縮、コスト削減にも貢献。医薬品物流の高度化と持続的な改善に大きく寄与しています。
このように、マテハンを活用することで、過剰在庫や欠品を防ぐとともに業界特有の管理要件に合わせた運用を実現することができます。
▶参考事例
【アステム様】少子高齢化社会に適した次世代メディカル物流センターを実現
- 将来の物流変化に対応したモジュール型の半自動マテハン設備
- オーダー特性に応じて最適なピッキング方法を選択し、作業効率UPを実現
寺院での活用例
一見、マテハンとは無縁に思える寺院でも、実はマテハンが活用されています。
例えば、需要が増加している都心部の納骨堂において、マテハンは最適なソリューションです。
無量寿山 光明寺 新宿瑠璃光院 白蓮華堂様では、自動搬送式納骨堂を導入することで、利便性の高い都心部への寺院および霊園の建設を実現しました。参拝客が専用のICカードを使用して受付を行うと、参拝堂に到着するまでに自動倉庫が自動でお厨子をセットし、参拝の準備が完了します。トヨタL&Fは「300年後も残る美しい寺院」をテーマに建築設計から許可申請、機器選定、施工、運用まで一括管理し、高いデザイン性と耐震・耐久性を兼ね備えた寺院を実現しました。
このように、一見異分野と思われる納骨堂でもマテハンが導入されており、歴史や文化と調和しながら、利便性と持続性を兼ね備えた空間の創出に大いに貢献しています。
▶参考事例
【無量寿山 光明寺 新宿瑠璃光院白蓮華堂様】自動搬送式納骨堂を備えた、300年後も残る美しい寺院建築を実現
- 都心の狭小地でも多くのご遺骨を保管できる自動倉庫の導入
- 耐久性・デザイン性の高い建築設計
- 建築設計から許可申請、機器選定、施工、運用まで一括管理
その他業種での活用例
マテハンはこれまで紹介した業界以外にも、農業・水産など、実に幅広い業種で導入されています。
多様な業界・業種がマテハンから恩恵を受け、持続的な成長や競争力強化・作業環境の改善を目指すことが可能です。
▶参考事例
【小泉木材様】最適な機器の組み合わせにより合理的な倉庫運営の体制を構築
- 横移動可能なオールウェイリフトの導入で、狭い通路でも長尺物の運搬が可能に
- 移動ラックの導入で省スペース化を実現し、収容量が倍増
- 使用環境に適したフォークリフトとラックの導入で作業効率が向上
7.まとめ
マテハンは、物流や生産現場のあらゆる課題解決に欠かせない基盤技術として、その重要性を増し続けています。
人手不足や需要変動、複雑化するサプライチェーン、高度な品質基準への対応など、多面的なニーズに合わせて機器・システムを柔軟に組み合わせることで、効率化、省人化、品質・安全性向上、コスト削減が同時に実現可能です。
マテハン導入はゴールではなくスタートであり、長期視点での拡張性や安定稼働を考慮した、戦略的な取り組みが、将来を見据えた持続的な競争力強化につながります。
トヨタL&Fは65年以上の実績を基に、「現地現物」主義の調査から最適な機器選定、施工、教育、アフターサポート、さらには継続的な運用改善提案までを一貫して支援いたします。
マテハン導入や改善に関するご相談・お問い合わせは、下記フォームよりお気軽にお寄せください。
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