2025.08.29|マテハン

物流現場における仕分け機とは?仕分け機の種類と導入メリットを徹底解説

近年、物流業界では人手不足や短納期対応といった課題が深刻化しています。このような課題を解決するため、注目されているのが「仕分け機(ソーター)」です。本記事では、仕分け機の基本的な仕組みや種類を解説するとともに、導入のメリットと注意点、導入プロセス、実際の導入事例まで詳しくご紹介します。仕分け機について詳しくない方でも導入検討への第一歩を踏み出せるよう、ポイントをわかりやすくまとめました。ぜひご参考ください

目次

1.仕分け機(ソーター)とは?

仕分け機の定義と基本的な仕組み

仕分け機とは、物流センターや工場で流れる荷物をセンサーで読み取り、指定されたシュートに素早く・正確に自動振り分けする装置です。その流れは大きく次の3つのステップで成り立っています。

・読み取り:バーコード、QRコード、RFIDなどで荷物を識別
・判断:制御装置が行き先を決定
・分岐:コンベヤやソーターが荷物を決められたシュートに振り分け

また、WMS(倉庫管理システム)と連携することで、在庫状況をリアルタイムで把握でき、在庫のズレ防止にも効果を発揮します。

仕分け機が注目される理由

仕分け機が注目を集める理由には、以下のような物流市場の変化があります。

・小口多品種・短納期化:ネット通販の増加により、少量・多品種の出荷が常態化し、素早い対応が求められる
・人手不足:物流作業を担う人員が減少し、採用や残業コストが課題
・物流品質向上のニーズ:手作業では防ぎきれない誤出荷やヒューマンエラーの解消ニーズ

こうした背景から、仕分け機の導入が多くの物流現場で進められています。

▶関連ページ:トヨタL&Fの仕分け機(ソーター)商品一覧はこちら

2.仕分け機の主な種類と特長

仕分け機には多種多様なタイプがあり、用途や扱う荷物に応じて最適なものを選ぶことが可能です。ここでは代表的な3タイプ9機種を簡潔にご紹介します。

コンベヤタイプ

搬送用のベルト上を流れる荷物を、横方向に押し出したり滑らせたりして仕分ける方式です。大量処理が得意で、実績も豊富です。

●  クロスベルト式ソーター

2本の小さなベルトが交差しながら荷物をやさしく送り出します。音が静かでスピードも速く、衣料品や壊れやすい商品に向いています。

●  チルトトレイ式ソーター

お皿のようなトレイが左右に傾き、荷物を滑らせてシュートへ落とします。構造がシンプルで袋物や薄い箱でも安定して流せます。

●  スライドシュー式ソーター

横から出てくる押し板で荷物をそっと横へ押し出す仕組みです。衝撃が少ないので割れ物やガラス製品にも安心して使えます。

●  ポップアップ式ソーター

ベルトの下から小さなローラーが持ち上がり、荷物を直角方向へ移します。

●  ハンガー式ソーター

ハンガーに掛けた専用ポケットに商品を収納し、自動で仕分けるシステムです。倉庫の上部空間を有効活用しながら、高速で仕分け作業を行うために利用されます。

ロボットタイプ

床を自由に走る小型ロボットが荷物を持ち上げ、決められたシュートまで運ぶタイプです。作業エリアのレイアウトをあとから変えやすいことが特長です。

●  平面型仕分けロボット

自律走行ロボットが床を走り、荷物を棚やシュートに載せ替えます。台数を増やすだけで処理能力を簡単にアップできるので、小〜中規模倉庫に向いています。

●  立体型仕分けロボット

ロボットに昇降機を組み合わせ、上下のフロアや高い棚にも荷物を届ける仕組みです。床面積が限られる倉庫でも大量処理が可能です。

人手補助タイプ

これまでご紹介した「コンベヤ式」や「ロボット式」に加え、作業者をライトや扉でサポート支援する「人手補助タイプ」 もあります。この方式は、完全に自動化するケースと比較して導入コストを抑えつつ、ヒューマンエラーを削減できる点が特長です。

●  DAS(Digital Assort System)

商品のバーコードをスキャンすると、各間口に設置されたデジタル表示器が光り、投入先の間口や必要な数量を表示します。作業者は光った間口に指示された数量の商品を投入するだけで、効率的に仕分け作業を行うことが可能です。商品の投入後にボタンを押してランプを消すことで、入れ忘れや数量間違いを防ぐ仕組みとなっています。

●  GAS(Gate Assort System)

各間口に小さな扉(ゲート)を設置したシステムで、商品のバーコードをスキャンすると、対象のゲートが自動で開きます。作業者は開いたゲートへ商品を投入するだけで仕分け作業が完了します。ゲートは1回の商品スキャンにつき1つの間口だけが開き、開いたゲート以外には商品を投入できない仕組みとなっているため、仕分けの正確性が高いのが特長です。

▶関連ページ:トヨタL&Fの仕分け機(ソーター)商品一覧はこちら

3.仕分け機導入のメリット・デメリット

仕分け機の導入は、「人手不足の解消」や「作業スピードの向上」「正確性の向上」といった課題を一挙に解決する有効な手段です。ただし、導入には高額な初期投資や運用中のトラブル対応など、注意すべき点もあります。本項目では、導入前に知っておきたいメリットとデメリットを分かりやすく整理しました。

メリット

●  処理能力の向上

仕分け機の導入により、1時間あたりの処理能力が人手作業の3〜10倍に向上します。さらに、ラインを止めずに24時間連続稼働が可能なため、繁忙期でも残業や臨時スタッフに頼る必要がありません。また、稼働データが自動記録されることで、遅延箇所を迅速に把握できるため、作業スピードの調整等を効率的に行うことができます。

●  ミス削減と品質安定

仕分け機は、バーコードやRFIDタグを自動で読み取り仕分けを行うため、誤出荷やピッキングミスを大幅に削減できます。また、荷物の取り扱いが均一化されることで、破損や混載の発生を防ぎ、クレーム対応にかかる手間やコストを軽減します。さらに、仕分け結果が即座にWMSに反映されるため、在庫情報を常に正確な状態で管理することが可能になります。

●  省人化・労働力不足の解消

仕分け機は、単純な仕分け作業を自動化できるため、1台で5〜10人分の業務を補うことが可能です。これにより、人員を付加価値の高い業務に再配置できるほか、採用や教育にかかるコストも削減できます。また、派遣社員やアルバイトへの依存度が低下することで、人手不足による課題を大幅に軽減することができます。

デメリット

●  初期コストの大きさ

仕分け機の導入には、本体価格に加えて据え付け工事、ソフトウェア開発、建屋改修費などが必要となり、総額が数千万円から数億円に達する場合があります。そのため、導入前には物量予測や期待効果を詳細に試算し、投資の回収時期や見込まれるリターンをしっかり確認することが重要です。また、リース契約や補助金を活用することで、初期費用の負担を軽減する方法も検討できます。

●  トラブル時の停止リスク

仕分け機が停止すると出荷作業全体が止まる可能性があるため、予備部品の確保や24時間対応の保守契約をあらかじめ整備することが重要です。また、停電や機器故障などの緊急時には、迅速に手作業へ切り替えるための手順(BCP:Business Continuity Planning 事業継続計画)を事前に策定しておくことで、万が一のリスクに備えることができます。

●  レイアウト変更の難しさ

固定式のコンベヤラインは、後から出口の追加や移設をする場合に大掛かりな作業となるため、レイアウト変更が難しい点に注意が必要です。将来的な物量増加を見据え、初期設計時に余裕を持たせた配置を検討することが重要です。また、ロボット式仕分け機のように、後から出口を柔軟に増設できるタイプを選べば、将来の変化に対応しやすくなります。

4.仕分け機導入の進め方

仕分け機を効果的に活用するには、事前準備をしっかりと行い、検討から本格稼働までの流れを計画的に進めることが大切です。ここでは、仕分け機導入を成功に導くための4つのステップをご紹介します。

Step1:要件定義~基本設計
Step2:詳細設計~製造
Step3:据付~調整
Step4:本稼働~運用評価

Step1:要件定義~基本設計

まずは、導入目的を明確にし、自社が解決したい課題を具体化します。(例:誤出荷を50%削減したい、1時間に○○個の荷物を処理したいなど)

次に、荷物のサイズや重量、種類、作業フロー、既存のシステムとの連携可否などを整理し、現状の課題を洗い出します。その情報をもとに、仕分け機の方式やライン設置箇所、大まかな設計を計画します。将来的な物量の増加も考慮し、拡張スペースや電源の余裕を持たせた設計を行うことで、安心して運用できます。

Step2:詳細設計~製造

基本設計が確定したら、センサーの配置、ベルト速度、出口の数など、具体的な仕様を決定します。加えて、侵入防止柵や非常停止ボタンなど、現場での安全対策もこの段階で検討します。設計が完了したら、仕分け機を製造し、工場内で動作テストを行います。動作テストでは、荷物を流して検知の精度や連続稼働の信頼性を確認し、不具合がないかを徹底的に検証します。

Step3:据付~調整

製造が完了した機器を倉庫へ搬入し、ラインを組み立てます。設置後には、実際の荷物を流して試運転を行いながら、読み取りタイミングや出口での停止位置などを細かく調整し、最適な稼働状態を構築します。並行して、作業マニュアルの整備や現場スタッフへの操作教育、安全訓練を実施することで、スムーズな本稼働を目指します。

Step4:本稼働~運用評価

調整が完了したら、本稼働を開始します。稼働データ(処理数、誤仕分け数、停止時間など)を定期的に確認し、微調整を行うことで、安定した運用を維持します。さらに、交換部品の管理や定期点検計画を立て、突発的な故障を未然に防ぎます。導入効果が目標値に達しているかを定期的に評価し、ロボット台数の追加や出口の拡張など、現場の状況に合わせた改善を継続することが成功の鍵となります。

この4つのステップを着実に進めることで、仕分け機を最大限に活用し、業務改善を加速させることができます。

5.導入事例で見る仕分け機の効果

実際に仕分け機を導入した企業では、処理能力アップや省人化など多くの成果が確認されています。
ここではトヨタL&Fが手がけた6社の事例をご紹介します。

株式会社安川電機様(業種:電気・機械)

平面型ソーティングロボットシステム「t-Sort」により、仕分け業務の効率化と省人化を実現。

<導入商品>
平面型ソーティングロボットシステム「t-Sort」(平面型仕分けロボット)

<導入効果>
・「導入前の業務シミュレーション能力の試算」と「短期間での導入」が可能
・7名の人員削減による省人化と、1時間あたりの処理数の従来比6倍を実現
・シンプルオペレーションで初心者でも作業が可能な、仕分け業務の効率化を達成

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株式会社高儀様(業種:建築用工具

平面型ソーティングロボットシステム「t-Sort」による仕分け作業の効率化で、処理数の倍増と約30%の工数削減を実現。

<導入商品>
平面型ソーティングロボットシステム「t-Sort」(平面型仕分けロボット)

<導入効果>
・拡張性が高く、物量によってロボット・仕分け先・面積の増減が容易
・仕分け作業の効率化により、20~30%の工数削減を実現
・仕分け処理能力が約2~2.5倍となり、出荷量が多い日でも前日作業が不要に

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トヨタモビリティパーツ株式会社 茨城支社様(業種:小売・通販・卸売 / 自動車・輸送機器)

立体型ソーティングロボットシステム「t-Sort 3D」の導入で、作業者負担や仕分けミスを削減し、高効率な仕分けを実現。

<導入内容>
立体型ソーティングロボットシステム「t-Sort 3D」(立体型仕分けロボット)

<導入効果>
・1日当たり、約2.5kmの歩行作業と約500回のかがみ動作の削減で、作業者負担を軽減
・作業者の人手による仕分け作業を自動化し、仕分けミスを大幅に削減
・シンプルな操作で、熟練・新人を問わず同品質で、正確な仕分けを実現

▶関連ページ:トヨタモビリティパーツ株式会社 茨城支社様導入事例はこちら

株式会社ZOZO様(業種:小売・通販・卸売 / アパレル)

国内初導入のハンガー式保管・高速仕分けシステム「ポケットソーター」で、作業の標準化、および省人化を実現。

<導入内容>
ハンガー式保管・高速仕分けシステム「POCKET SORTER」(ハンガー式ソーター)

<導入効果>
・ポケットソーターのみで保管から個配仕分けまで可能となり、省人化を実現
・RFID商品タグを活用した自動検品システムで、検品作業の自動化による作業効率の向上を実現
・自律型ケースハンドリングロボットシステム「Haipick System」の導入で、入庫・保管・出庫の自動化を実現

▶関連ページ:株式会社ZOZO様導入事例はこちら

株式会社ワールド様(業種:小売・通販・卸売 / アパレル)

物流拠点集約によるSCM改革の一環として、ネット通販の統合を見据えた効率化を実現。

<導入内容>
クロスベルト式高速仕分けシステム CROSSORTER(クロスベルト式ソーター)

<導入効果>
・マテハン・情報システムからセンター運営まで総合的な物流ソリューションを提供
・人と機械が調和した効率的なオペレーションを提案

▶関連ページ:株式会社ワールド様事例はこちら

株式会社ビームス様(業種:小売・通販・卸売 / アパレル)

世界初導入の「CUEBUS(搬送タイプ)」など先端自動化システムの導入とWMSの刷新で、効率的な物流拠点を構築。

<導入内容>
自動倉庫 / 情報システム / 仕分け機・ソーター(スライドシュー式ソーター)

<導入効果>
・リニアモーター式ロボット「CUEBUS(搬送タイプ)」を世界で初めて採用し、Zラックの自動搬送を実現
・RFID商品タグを活用した自動検品システムで、検品作業の自動化による作業効率の向上を実現
・自律型ケースハンドリングロボットシステム「Haipick System」の導入で、入庫・保管・出庫の自動化を実現

▶関連ページ:株式会社ビームス様の導入事例はこちら

6.まとめ

仕分け機は、「速さ」「正確さ」「省人化」を同時に実現する、物流業務の革新を支える重要なツールです。

本記事では、仕分け機の基礎知識、代表的な方式、導入メリットとデメリット、導入プロセス、そして実際に得られる効果について、わかりやすく解説しました。まずは、自社が抱える課題を整理し、最適な仕分け機の方式を検討することから始めてみてください。

トヨタL&Fでは、機種選定から設置後のサポートまでワンストップでご提供しています。仕分け機に関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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