物流拠点集約によるSCM改革 ネット通販の統合も見据え効率高める。

株式会社ワールド 様
https://corp.world.co.jp/

業種:通販・卸売・小売 / アパレル
導入商品:仕分け機・ソーター / 情報システム

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導入効果

  • マテハン・情報システムからセンター運営まで総合的な物流ソリューションを提供
  • 人と機械が調和した効率的なオペレーションを提案

免震など最新鋭の機能を備える大規模物流施設(千葉県船橋市)の4階・5階に、アパレル大手のワールドが、物流センター「ワールドディストリビューションセンター(WDC)」を2016年12月に開設した。
ワールドの数多くのブランドの中でも出荷数量の多いショッピングセンター(SC)向けのブランド商品をWDCに集約することで、物流網の再構築と大幅な効率化を図る。
ブランド別に分かれていた物流センターを、1拠点に集約する大規模な物流改革であるとともに、「サプライチェーン・マネジメント(SCM)を高度化する全社的改革の先駆けとなる取り組みです」と、ワールド コーポレートプラットフォーム本部 コーポレートインフラ統括部 統括部長の藤原義彦氏は説明する。

新たな物流をトヨタL&Fがトータルでサポート

ワールドが、2016年12月に開設した物流センター「ワールドディストリビューションセンター(WDC)」では、まず13ブランドの商品を集約して管理することになった。取扱数量の増加に対応するため、一度に複数の店舗分をピッキングする「トータルピッキング」という方式を新たに導入。その後で出荷先店舗ごとに小分けする「後仕分け」などの工程で自動化を進めた。新たな物流をトヨタL&Fがトータルでサポートしている。

センター稼働後の運営まで提案

「これまで3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)業者に委託し、物流を最適化してきましたが、コストの詳細な把握が難しかった。これを“見える化”し、さらなるコスト削減を図るには、自社で物流に取り組む必要がありました」。ワールド コーポレートインフラ統括部 物流部 部長の伊賀浩一氏は、背景についてこう話す。自動化設備導入による省人化なども併せて、プロジェクトは進められた。
省人化を目的としたマテリアルハンドリング(マテハン:機械による作業)・システムなどを導入するパートナーはコンペ方式で募った。
トヨタL&Fを選択した理由について、伊賀氏は「自社で物流を手掛けるのは、我々にとって初めての挑戦です。自動化設備の導入だけで物流全体の仕組みは構築できません。トヨタL&Fさんが、マテハン・システムやWMS(倉庫管理システム)の設計や導入に留まらず、WDC稼働後の運営まで提案していただいたのが大きなポイントでした」と話す。WDCでは、トヨタL&Fの100%子会社であるアドバンスト・ロジスティックス・ソリューションズ(ALSO)が運営を担い、トヨタL&Fと協調してワールドの支援にあたっている。
また藤原氏は「成長事業であるネット通販の在庫管理システムをリアル店舗の物流システムと統合し、さらなる効率化を進める予定です。その物流プラットフォームの外販も構想しており、それを実現しようとすると、単なる設備メーカーではなく、総合的な物流ソリューションを提供し、一緒にWDCを進化させてくれるパートナーが必要だったのです」とも打ち明ける。
WDCでは、国内外の仕入れ先から商品を入荷し、入庫格納・在庫管理したのち、出荷指示に応じて、全国の約1,300の店舗に対し、商品を配送。また、店舗から返送された商品も再度荷受けし、在庫管理する。

人と機械が調和したオペレーション

新センターへの集約に伴い、在庫から商品を取り出す「ピッキング」の仕組みを大きく変更した。従来は、出荷先の店舗ごとに必要な商品を選んで箱詰めする「オーダーピッキング」だったが、提案を受けWDCでは「トータルピッキング」を新たに採用。これは複数店舗分の商品を一度にまとめてピッキングする方法で、出荷数量が多い場合に有効だ。ただし、ピッキングが完了した後に、出荷先店舗ごとに「後仕分け」が必要になる。主にこの工程で自動化設備を大いに有効活用している。
ただ、省人化を目的とした機械化とはいえ、人手が必要な工程は残る。トータルピッキングで集められた在庫商品は、人手でソーターに載せ、店舗単位に区切られた間口に流し込んで仕分けし、人手によって箱詰めする。
効率的な物流センターの構築には、いかに人と機械を調和させていくか、という視点が不可欠であり、ここでも「トヨタ生産・物流方式」のノウハウを持つトヨタL&F、ALSOのソリューションが活かされている。

人と機械が調和したオペレーション

改善の継続で最適化を推進

例えば、ソーターから商品が自動仕分けされる間口には、作業の状態を示すランプが設置され「仕分中」「満杯/一時停止」「完了」などがひと目で分かる仕組みになっている。ほかにも、新規入職者の習熟度を上げるために、模擬現場を使ってトレーニングを行う「訓練道場」を設置するなど、現場における品質のつくりこみ、生産性の意識を植えつける哲学がうかがえる。
WDC稼働後の評価について、ワールド 物流部 物流センター運営チーム WDC センター長の岡田尚氏は次のように話す。「できたばかりのセンターですから、日々何かが起こります。トヨタL&Fさんは機動的に対応し、改善策を提示してくれ心強いです。より安定した稼働を達成できた後も、さらなる生産性の改善に向けた提案とサポートを期待しています」。
ワールドは今後、多様な業態のノウハウを持つ優位性を武器に、物流プラットフォームの外販や、生産から店舗まで一気通貫でのSCMの全体最適化を目指す。「これを実現している同業他社はまだありません。我々にとっても大きなチャレンジですが、トヨタL&Fさんをパートナーとして、ぜひとも成功させたい」と藤原氏は力強く語った。

改善の継続で最適化を推進

商品は、店舗単位に区切った間口に流し込まれ、重いものや畳まれた商品は下側に、ハンガーにつるされた商品などは上側に、担当者の経験も駆使して箱詰めされる。作業状態が分かるランプや、担当者の習熟度を上げる「訓練道場」を設置するなど、人と機械の調和を目指すトヨタL&F独自の思想が見受けられる。

本事例における導入商品

  • クロスベルト式高速仕分けシステム
    CROSSORTER

    高い処理能力と安定稼働で高速仕分けを実現するクロスベルトソーターです。

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